『セクシュアルハラスメント』と『セカンドハラスメント(二次的嫌がらせ)』の被害者の声です。
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私たちは事務所を出たあと、繁華街にある寿司屋に行きました。
けっこう繁盛しているらしく、座敷のほうはほかの客でいっぱいでしたた。カウンターだけがかろうじて空いていました。
次長をはさんで、右に支店長、左に私が座りました。
私は、次長の隣に座りたくはなかったけれど、支店長が先に端の席に座ってしまったので、仕方がなかったのです。

「なんでも好きなの食べていいよ」
カウンターに座ると、支店長が言いました。
ならば食べることに集中しようと、少し遠慮しながらも、私は寿司をほおばりました。

隣で次長が、独身時代に趣味だった登山の話をしていました。
私はどうでもいいと思ったけれど、害のない話なので、適当に話を合わせて聞いていました。

次長は調子づいたのか、山登りで一緒になった女性とふたりきりの夜を過ごしたことを話し出しました。結局その女性とは何もなかったらしいのですが、私はもっとどうでもよくなりました。

一方、支店長は嬉しそうに、
「何もできなかったんですねえー。意気地がなかったんですねえー」
と、次長をからかい出しました。

私は、おじさんの昔の恋愛話につき合うほど物好きではないので、黙って話題が変わるのを待っていました。

すると支店長が、何の脈略もなく話を変えました。
「T(次長)ちゃん、H(私)ちゃんのこと好きでしょ」

私は驚きました。
やめてよ、気持ち悪い!
上司がそんなことを言っていいと思っているのか?
だいたいそんな質問に、そうだと答えるわけがないではないか!

しかし次長は、はにかみながら何度もうなずきました。冗談ではないらしく、かえってそのほうが私には信じられませんでした。

支店長は、あっけにとられている私など目に入っていない様子で、次長に言いました。
「Hちゃんに、俺たちの家庭を壊してでも、奪ってほしいよねぇ」

私がここにいることを、支店長は忘れているのではないかと思いました。聞き捨てることのできない問題発言です。
私は反論することにしたのです。
「私、既婚者は興味ありません」

支店長が首を振って否定しました。

何を根拠に、私の趣味を否定するというのか?!
私はかなり頭にきて、今度は遠慮なくはっきり言い放ちました。

「私、おじさんは嫌です!」

しかしそれが決定的と思ったのは私だけのようでした。
すかさず次長がこう言いました。
「もう、おらんやろ?」

私が意味を解釈できずにいると、次長は補足しました。
「俺たちくらいの年代しか、つき合う人おらんやろ」

開いた口が塞がらない状態とは、このときのことであります。
私は、たしかに彼氏はいませんでしたが、まだ二十八歳でした。フリーの男性との交際を諦めるには早すぎます。というよりも、たとえそれがどうであれ、他人が意見することではないし、ましてや決めつけることではないでしょう。

なぜこの中年ふたり組は、私をおじさんとつき合わせたがるのだろう?
そしてなぜこのおやじたちは、こんなに色気づいているのか? 
私は頭を抱えたくなりました。


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