『セクシュアルハラスメント』と『セカンドハラスメント(二次的嫌がらせ)』の被害者の声です。
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「当時の背景」で記述したとおり、支店の設計社員は私ひとりだけでした。
では、仕事を覚えるまでのあいだは誰が指導してくれたかというと、本社設計部の次長でした。
彼は出張で、だいたい毎月半分くらいは支店に滞在していました。

とてもまじめな上司でした。
年齢は五十くらいで、短髪の痩せ型でした。九州男児でした。

AutoCADの操作も基本しかできない私に対し、とても熱心に指導してくれました。
設計に関することも、もちろん教えられました。

私に設計の仕事を教え込んで(ほぼ)一人前にしてくれたのは彼でした。
私はとても感謝していました。
それに、セクハラはしない人でした。

ところがです。私もひとりで仕事をこなせるようになったころ、困ったことになりました。


この会社の経営者(会長)は、月に一、二度支店を訪れていました。
当日いきなり電話をしてきて支店に来ることが多かったです。
大変わがままな性格で、社員の中からターゲットを決めては、ねちねちといじめ抜くのが生きがいの人でした。
だから支店内で会長を慕っている者はひとりもいませんでした。

そんなにもみんなが嫌っていたのは、そのいじめが非情なまでにひどいものだったからです。
会長は常時いじめをしていました。
たいていの場合、標的となったものは狙い撃ちされます。
会長は、ターゲットに皮肉を言ったり意地悪をしたりするだけでなく、ほかの社員に悪口をぶちまけ、おまけに、その者を中傷する文書をわざわざ作成し、全社員に読ませるために、全国に点在する支店にファックスで送信するのです。
彼は手加減というものを知りません。

そのようにして誰かひとりが人身御供のごとく犠牲になっているあいだは、ほかの社員は安心なのですが、そのいじめが一段落すると、新たな人身御供が必要となります。

なかでも次長は、かなり執拗ないじめにあいました。
当時、次長が担当していた北海道の物件でトラブルがありました。
彼はその全責任を負わされ、何カ月ものあいだ、一日として本社に帰ることを許されず、ずっと現場の紋別にいるよう命じられました。
客先とのトラブルは解消されず、会長からはいじめられ、彼は精神的に衰弱し、入院しました。

のちに支店長から聞いた話によれば、会長と次長はもともと折り合いが悪かったらしく、次長の入院後もいじめが続きました。
会長は、「(次長が)きちがいの振りをしているだけだ」と言ったのだとか。
そして、「裁判で損害賠償を請求する」と息巻いたといいます。

さすがにそのときは、次長の奥様が会社に電話をしてきて、許しを請うたそうです。

その肉親の想いを考えると、私は切なくなりました。

が、驚いたことに今度は支店長が、
「奥さんがでしゃばってくるなんて、なに考えてんだ」
と、腹を立てながら非難したのです。

私は、支店長の人格を軽蔑しました。
次長の奥様の行為は常識をこえてはいないし、それに家族だもの、心配するのは当然のこと。

そのような、誰もが普通に持っている家族愛というものを、支店長は彼自身にも妻子がありながらくみ取ることができないのです。

そうして結局、次長は会社を辞めました。

この会社にはいじめがありました。
集団いじめです。
会長がリーダーなら、支店長は陰のリーダーでした。


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