『セクシュアルハラスメント』と『セカンドハラスメント(二次的嫌がらせ)』の被害者の声です。
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面白い店にて、私たちはしばらく裁判の話から脱線したのち、本題へと戻りました。もちろん裁判のことです。

私は、裁判に対する不安を払拭できずにいました。
I氏はそんな私に、熱くなるわけでもなく突き放すわけでもなしに、淡々と言いました。
大切なのはさ、自分がどうしたいのか、どうしたら後悔しないかっていうことだよ。裁判をしたくないなら、それでもいいけど、ほんとに納得できるか考えたほうがいい。たとえば何年かあとになって、やっぱり裁判をしておけばよかったって後悔するかもしれない。でも、そのときは、いくらくやしがったって遅いんだよ。ずっと悔やみながら生きていかなきゃならない。だったら今できることを全部やって、最後に笑ったほうがいいよね。残りの人生、今の自分を振り返って笑っていられるかどうか、そこが大事なんだよ

彼の言うとおりでした。大切なのは自分の気持ち。それ以外は何もない。
私は、不思議な感動を覚えていました。この日初めて会ったI氏に、これほど考えさせられるとは。


ちょうど話に区切りがついたところで、I氏の奥さんが店に迎えに来ました。お世辞ではなく美人の若い奥さんを見て、私は最後まで驚きっぱなしだったのでした。
貴重な出会いであったといえましょう。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

その日もN氏は、いつもどおり私を自宅まで送ってくれました。
「ちゃんとお父さんに話すんだよ」
「うん、わかってる……それじゃあ、気をつけて帰ってね」
そう言って、私は助手席のドアを閉めました。

家に入ると、両親はもう眠ったらしく、だけが出迎えてくれました。その愛くるしい小さな温もりを、私はひしと抱きしめました。

明日には親に話さなければならない。N氏にああ言ったものの、できるだろうか。
ひとりになると急に心細くなってきました。

私は部屋に入ってから、I氏の言葉を思い出していました。
自分がどうしたいか、どうしたら後悔しないか。

そして数年後の自分を想像しました。
その顔が笑っているのか、泣いているのか……笑っていてほしかった。


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