『セクシュアルハラスメント』と『セカンドハラスメント(二次的嫌がらせ)』の被害者の声です。
TOP > > title − 来なくていいからTOP > B-9セカンドハラスメント > title − 来なくていいから
十二月二十七日。翌日から有給休暇を含めて年末年始休みに入るため、この日は、私にとっての仕事納めでした。
相変わらず仕事がなかったので、まずデータの整理をしました。               
私がこの三年近くで作成した図面のデータは膨大な量で、仕事の合間を見てはこの作業をしないと管理しきれませんでした。
が、このときはあまりその必要がありませんでした。仕事がなくなってからすぐ、整理し終えていたからです。
だからといってほかに何をするか思いつかず、とりあえずデータを見ていきました。それからふと思いついたのです。私のパソコン以外で、整理していないデータがあるかもしれない、と。
私やM美が専用で使用しているパソコンとは別に、社員共有のパソコンが二台ありました。管理するのは私の役目でした。

私は二台のデータをひととおりチェックしました。けれど、無駄なデータはないようなので、すぐに作業は終わってしまいました。

そのあとネットワーク画面に戻ると、なぜか支店長のノートパソコンがネットワークにつながれているのに気がつきました。
※会社のパソコンは、すべてネットワークでつながれていました。わざわざそこまで行かなくとも、自分のパソコンに一覧が表示され、すべてのデータをひらくことができるのです。どこからでも、誰でも、データを見るあるいは使用するという目的で導入されたばかりでした。
また、デスクトップは固定ですけれど、ノート型はケーブルをつながなければネットワークには入れない状態でした。

私は支店長のほうを振り返りました。彼のパソコンはひらいていましたが、ほかの仕事をしていて使う様子はまったくありませんでした。
なぜ使いもしないのにわざわざネットワークにつないでいるのでしょうか? 私はとても不自然に感じ、いぶかしく思いました。

支店長は会長の命令でノート型パソコンを持たされたばかりでした。
その設定や操作法などは私が何度か教えたものでした。
前に二、三度データの管理の仕方なども教えたけれど、きちんとできているのだろうか──以前にも支店長に頼まれてそうしたように、私は彼のデータ画面をひらいてみました。

特におかしなデータはないな。
前に見たときから、あまりデータは増えていないようだ。
そう思ったとき、あるタイトル名に目がとまりました。

『今回の件については様々に見方があると思われる』

──タイトル名というよりは、文章の書き出しそのものでした。データを保存する際にタイトルを入力しない場合、文章の書き出しがタイトルとなるのです。それはとても違和感がありました。

データをひらいてみると、『セクハラ』という文字が目に飛び込んできました。私は驚いて、すぐに画面を閉じました。
何かの文章らしかったのですが、今読むのは、私にとってとても危険に思えました。ただ、このまま見過ごすわけにはいかないので印刷をしておきました。

そのあとは、客先の住所録を作成しながら時間を潰しました。
定時の六時を過ぎても私は帰りませんでした。住所録がもう少しで仕上がりそうだったし、周りの反応を見たいと思ったからです。
すると、M美がこちらのほうに歩いてきました。パソコンに向かっている私の横に立ったので、私は彼女を見あげました。

「Hさん、一月五日は来なくていいから」

M美の言葉に私は驚きました。
毎年、仕事始めは社員全員で、商売繁盛の祈願をしに神社へ行くのが恒例でした。私が入社してから二度仕事始めを迎えていて、私は二度とも出社していました。来年に限って来なくていいとは、どう考えてもおかしいのです。

私は訊きました。
「来なくていいんですか」
M美は、後ろめたい様子で、
「来年は、神社へは男の人たちだけで行くから……タイムカードは男の人たちが押しておくから……」

おそらく、私を邪魔に思った支店長が決めたことでしょう。気にくわない相手に文句を言いたいとき、M美に指図して言わせるのは支店長のよくやる手でした。男性社員だけ出社するというのも怪しいものでした。
でも私は、指図されて動いただけのM美に文句を言っても仕方がないと思ったし、周りにほかの社員がいたため、何も言い返すことができませんでした。

私は「わかりました」とだけ言って、パソコンの画面へと視線を戻しました。


↓ランキング参加中です↓応援クリックお願いします↓

FC2ブログランキング   人気blogランキング   会社員・OLブログランキング

 | セカンド・ハラスメント〜セクハラの二次被害 |