※「CaseB 職場の面々」からの続きです。
「私は、もうホテルに帰りますから」
焼肉屋を出て、会長がそう言うと、私は心の中でガッツポーズをしました。
なぜなら、会長がこのようなことを言うのは珍しく、これまでは、ただでさえ長い一次会のあと、深夜まで続く二次会へと行くのが当たり前だったからです。
私は覚悟をしていた分拍子抜けしましたが、とにかく帰れるのが嬉しかったです。
会長が去ると、M美とF子が、
「それじゃあ、私たち、こっちなので。お疲れ様でした」
と、行ってしまいました。
ふたりは市外出身で、実家を離れ、会社に近い場所に部屋を借りて住んでいました。
帰る方向が同じだから仕方がないとはいえ、男四人の中に私ひとりをおいていくのは、少し冷たいような気がしました。
残された私たちは別の道を進みました。
やがて誰かが言いました。
「もう一軒行きますか」
はじまった……冗談じゃない。
私の、先ほどからしていた嫌な予感が的中しました。
この会社は、ほかに類を見ないほど飲み会が多かったのです。
必ずスナックへ連れて行かれて、翌日も仕事があるのに、深夜まで帰らせてもらえませんでした。
時刻は、もう十時を過ぎていました。
バスの時刻が迫ってきていて、私は気が気ではありませんでした(バス通勤していました。片道約一時間でした)。
今からもう一軒行くとなれば、帰る頃には日付が変わっているだろうと思いました。
私は、バス時刻を口実に断ろうとしましたが、それが無駄だと思い出しました。
これまで支店長がタクシー代を払う(多くは経費から)と言って、私を帰さなかったことは一度や二度ではありませんでした。
私は、関係ないふりをしました。すると、
「Hちゃん(私のこと)も行くよね」
と支店長が言いました。余計なことを言って、私を帰さない気です。
「もちろん行くよね」とK課長が言いました。
「いえ、帰ります」私は断りました。
再び課長が「えーっ、行くでしょう」と、行くのが当たり前という口ぶりです。
くわえて今度は、工事部の課長代理が口を出しました。
「Hちゃん、行こうよ」
私は負けまいとがんばりました。
「なに言ってるんですか。私は帰りますよ」
ところが、次長です。彼が両腕で、私の左腕をからめとり、ぐいぐいと引っぱっていきました。
その強引な行動に、私は言葉を失いました。
後ろのほうから、
「Hちゃんは断れない性格だから。アハハッ」
と、言い出したのが自分であるにもかかわらず、支店長が愉快そうに笑う声が聞こえました。
この状況では帰ることなどできませんでした。
結局、私は、二次会に行くはめになってしまいました。
「私は、もうホテルに帰りますから」
焼肉屋を出て、会長がそう言うと、私は心の中でガッツポーズをしました。
なぜなら、会長がこのようなことを言うのは珍しく、これまでは、ただでさえ長い一次会のあと、深夜まで続く二次会へと行くのが当たり前だったからです。
私は覚悟をしていた分拍子抜けしましたが、とにかく帰れるのが嬉しかったです。
会長が去ると、M美とF子が、
「それじゃあ、私たち、こっちなので。お疲れ様でした」
と、行ってしまいました。
ふたりは市外出身で、実家を離れ、会社に近い場所に部屋を借りて住んでいました。
帰る方向が同じだから仕方がないとはいえ、男四人の中に私ひとりをおいていくのは、少し冷たいような気がしました。
残された私たちは別の道を進みました。
やがて誰かが言いました。
「もう一軒行きますか」
はじまった……冗談じゃない。
私の、先ほどからしていた嫌な予感が的中しました。
この会社は、ほかに類を見ないほど飲み会が多かったのです。
必ずスナックへ連れて行かれて、翌日も仕事があるのに、深夜まで帰らせてもらえませんでした。
時刻は、もう十時を過ぎていました。
バスの時刻が迫ってきていて、私は気が気ではありませんでした(バス通勤していました。片道約一時間でした)。
今からもう一軒行くとなれば、帰る頃には日付が変わっているだろうと思いました。
私は、バス時刻を口実に断ろうとしましたが、それが無駄だと思い出しました。
これまで支店長がタクシー代を払う(多くは経費から)と言って、私を帰さなかったことは一度や二度ではありませんでした。
私は、関係ないふりをしました。すると、
「Hちゃん(私のこと)も行くよね」
と支店長が言いました。余計なことを言って、私を帰さない気です。
「もちろん行くよね」とK課長が言いました。
「いえ、帰ります」私は断りました。
再び課長が「えーっ、行くでしょう」と、行くのが当たり前という口ぶりです。
くわえて今度は、工事部の課長代理が口を出しました。
「Hちゃん、行こうよ」
私は負けまいとがんばりました。
「なに言ってるんですか。私は帰りますよ」
ところが、次長です。彼が両腕で、私の左腕をからめとり、ぐいぐいと引っぱっていきました。
その強引な行動に、私は言葉を失いました。
後ろのほうから、
「Hちゃんは断れない性格だから。アハハッ」
と、言い出したのが自分であるにもかかわらず、支店長が愉快そうに笑う声が聞こえました。
この状況では帰ることなどできませんでした。
結局、私は、二次会に行くはめになってしまいました。




