定時の六時になり、皆で支店をあとにしました。
食事は、会社のすぐ近くの焼肉屋ですることになりました。
私たちは、店の一番奥の、通路をはさんだふたつのテーブルに案内されました。
どちらのテーブルにも通路側に椅子はなく、向かい合う形になっていました。
一方のテーブル席にD会長とW支店長が座り、M美とF子も同席しました。
私はもう一方のテーブルにつくことにしました。
私は端の席に座りました。
隣にK課長が座ったので私はなんとなくほっとしました。
課長は人に気を遣わせないし、話していても嫌な気持ちにさせないからです。
課長の横には設計部のT次長。
次長は、話しているとすごく疲れました。
なんでもないことにいちいち過剰に反応するし、可笑しくもないのに笑うからです。
仕事の話をするときはボソボソと聞き取りづらい声なのに、それ以外では、どこから出てくるのかと思うほどの甲高い声で、「ヒャハハハッ」と笑うのです。
次長の隣には工事部のC課長代理が座りました。
年齢は支店長や次長よりも少し上(五十くらい)で、年中現場にいるため、いつも日焼けした黒い顔をしていました。
彼も、現場によって、支店に来ることが時々ありました。
私は課長と話をしながら、運ばれてきた肉を焼きました。
「いやあ、会長、そうですかあ」
と、向かいからW支店長の声が聞こえたので、私はそちらを見ました。
支店長が会長に取り入っていましたよ。
営業マンの性か、口だけは達者でした。
M美とF子も、会長の話を懸命に聞いていました。
大変そうだなあ。
私がそう思いながら横を見たら、K課長の向こうでT次長が寝ていました。
私はしらけました。
次長は普段から、「酒がまったく飲めない」と言っていました。
しかし、私は信じていませんでした。
過去に私は、下戸を何人も見てきました。ほんの数口飲んだだけで顔が赤くなり、次には青くなります。ある人は寝入って起きず、ある人は「気持ちが悪い」と助けを求めてきました。
私は、次長の顔色が悪くなるのを一度も見たことがありませんでした。
酒に強くはないとしても、あまり量は飲めないという程度でしょう。
それなら私も同じです。
次長は酔った振りをしているに違いないのです。
少しふざけた動作で、身体の向きや体勢を何度か変えていました。
誰かが気づいてくれるのを待っているようでした。
うざいですね。
相手にしても疲れるだけです。
私は無視を決め込みました。
ところが、私の胸中を知らないC課長代理とK課長は、次長を両脇から助け起こしました。
次長は嬉しそうに笑いました。
とても楽しそうで元気でした。
やはり酔った芝居だったのです。
私はあきれ返りました。が、表情に出すわけにはいかないので、無理に笑いました。
どっと疲れました。
早く終わらないかな……家に帰りたい。
内心はそう考えながら、愛想笑いしている自分が悲しかったのです。
食事は、会社のすぐ近くの焼肉屋ですることになりました。
私たちは、店の一番奥の、通路をはさんだふたつのテーブルに案内されました。
どちらのテーブルにも通路側に椅子はなく、向かい合う形になっていました。
一方のテーブル席にD会長とW支店長が座り、M美とF子も同席しました。
私はもう一方のテーブルにつくことにしました。
私は端の席に座りました。
隣にK課長が座ったので私はなんとなくほっとしました。
課長は人に気を遣わせないし、話していても嫌な気持ちにさせないからです。
課長の横には設計部のT次長。
次長は、話しているとすごく疲れました。
なんでもないことにいちいち過剰に反応するし、可笑しくもないのに笑うからです。
仕事の話をするときはボソボソと聞き取りづらい声なのに、それ以外では、どこから出てくるのかと思うほどの甲高い声で、「ヒャハハハッ」と笑うのです。
次長の隣には工事部のC課長代理が座りました。
年齢は支店長や次長よりも少し上(五十くらい)で、年中現場にいるため、いつも日焼けした黒い顔をしていました。
彼も、現場によって、支店に来ることが時々ありました。
私は課長と話をしながら、運ばれてきた肉を焼きました。
「いやあ、会長、そうですかあ」
と、向かいからW支店長の声が聞こえたので、私はそちらを見ました。
支店長が会長に取り入っていましたよ。
営業マンの性か、口だけは達者でした。
M美とF子も、会長の話を懸命に聞いていました。
大変そうだなあ。
私がそう思いながら横を見たら、K課長の向こうでT次長が寝ていました。
私はしらけました。
次長は普段から、「酒がまったく飲めない」と言っていました。
しかし、私は信じていませんでした。
過去に私は、下戸を何人も見てきました。ほんの数口飲んだだけで顔が赤くなり、次には青くなります。ある人は寝入って起きず、ある人は「気持ちが悪い」と助けを求めてきました。
私は、次長の顔色が悪くなるのを一度も見たことがありませんでした。
酒に強くはないとしても、あまり量は飲めないという程度でしょう。
それなら私も同じです。
次長は酔った振りをしているに違いないのです。
少しふざけた動作で、身体の向きや体勢を何度か変えていました。
誰かが気づいてくれるのを待っているようでした。
うざいですね。
相手にしても疲れるだけです。
私は無視を決め込みました。
ところが、私の胸中を知らないC課長代理とK課長は、次長を両脇から助け起こしました。
次長は嬉しそうに笑いました。
とても楽しそうで元気でした。
やはり酔った芝居だったのです。
私はあきれ返りました。が、表情に出すわけにはいかないので、無理に笑いました。
どっと疲れました。
早く終わらないかな……家に帰りたい。
内心はそう考えながら、愛想笑いしている自分が悲しかったのです。




