『セクシュアルハラスメント』と『セカンドハラスメント(二次的嫌がらせ)』の被害者の声です。
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会長たちは、まだ会議室で話し込んでいました。
私は図面を描くのに忙しかったのですが、F子が動きそうにないので、三人分のコーヒーをカップに注ぎ、それを会議室まで運びました。
「失礼します」と私は会議室に入り、まず会長の前にカップを置きました。

「そ、それでね、き、聞いてくださいよ――」
会長が興奮気味に話していました。
せっかちな性格が、その早口な話し方からすぐわかります。
舌がもつれてどもるから、聞き取りづらく、気をつけていても何を話しているかわかりません。
「い、行きましょう、行きましょう」とか「そ、そうしなさい、そうしなさい」などと、同じセリフを二回続けて繰り返します。
私はそれを聞くたびに、ちょっと昔にはやった『スキャットマン』を連想したものです。
また、支店の者たちのあいだでは「宇宙語」と呼ばれ、支店長によれば、金星あたりが会長の故郷ということでした。

支店長のほうはというと、会長を宇宙人と称しておきながら、本人を前にすると、わざとらしいまでに媚びへつらっていました。
そらぞらしく大声で笑うから、見ているこちらが嫌になりました。
でも、会長には気に入られていました。
「憎まれっ子世にはばかる」という言葉は、この男を形容するのにふさわしいでしょう。


私が仕事に戻ると、事務所のドアが開き、誰かが入ってきました。
誰だろうとそちらを見ると、本社設計部次長が、旅行バッグとパソコンの入ったケースを持って立っていました。
彼は、私の前の上司にかわって設計部次長となり、出張で支店に来るようになりました。
年齢は支店長と同じくらい(四十代半ば)で、髪は白髪交じり、というよりほとんど灰色に近かったです。
会長とは対照的に、新次長は小柄でした。
身長は私とそう変わりませんでした。私もけっして高くはない(百五十八センチです)けれど、男としてはかなり低いですよね。
ガリガリに痩せていて、目だけがぎょろぎょろとしていました。
九州出身で、独特のなまりがありました。

「お疲れさん」
次長はボソボソとあいさつをして、荷物を置き、会議室へ行きました。

私は、次長が来ることを知らなかったので驚きました。
次長は会長と同様、いやもっと悪く、連絡なしに支店に来ることが多かったのです。


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