『セクシュアルハラスメント』と『セカンドハラスメント(二次的嫌がらせ)』の被害者の声です。
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家路にて、車を走らせながら、それまでのことを考えていました。
涙がにじんできました。すべてが終わったことへの虚脱感にまみれて、もの悲しい喪失感がこみあげてきたのです。

私が逸したものは、計り知れませんでした。
仕事を失いました。
人を信ずる心を奪われました。
多くの時間を無駄にしました。T山に初めてセクハラをされてからの約二年半、私は死んだ時間を生きました。その長い歳月は、もう取り返すことができません。

それらの救いとなるべくして、私の得たものがあったでしょうか。
私が手にしたものは、誠意の証になりえない形式張った謝罪文と、裁判費用と相殺されるわずかばかりの和解金だけでした。
たったそれだけでした。


私はこの一件をとおして、セクシュアルハラスメント事件で一番に大切なのは「防止」であり、防げなかった場合に大切なのが「早期解決」であるということの意味がよくわかりました。
セクシュアルハラスメント事件にハッピーエンドは訪れません。私のように長引けば、傷は治せないほど深くなります。事件が終わっても、被害者はひとりだけ置き去りにされて、残された傷と対峙しなければならないのです。

私は、これからたくさんの時間をかけて心を癒していかなければなりませんでした。でも、社会復帰できるまでに回復することは難しいと思いました。


幾年か四季が巡っても、記憶は私の人生についてまわります。傷跡はいつまでも乾かずに、じくじくと傷み続けるでしょう。
ずっと、ずっと……私の記憶がある限り。


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